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命をいただく~鶏肉をみてみよう(西棟クッキング)~

 

私たち人間は、日々食事をします。生きていくためです。

食べることによって、人は、生命の維持に必要なエネルギーと体の細胞をつくるための栄養を補給します。さらには、美味しいものを食べるという行為そのものが、人の心を豊かにし、満足感を与えてくれます。

食べることは必要不可欠、とりわけ子どもにとっては、心身の発達や成長に欠かすことができないものです。食べることは生きること――まさに言い得て妙な言葉ですね。

 

その私たちが口にしている食べ物は、肉や魚などの動物や、野菜や穀物などの植物。これらはみな生き物です。私たちは、生きるためにたくさんの命をいただいています。

そんな私たちにできるのは、命に深く感謝しながらいただくこと。尊い命を無駄にせず、心身を健やかに保ち、生きること。

その心を育むため、紬木保育園では年に一度『命をいただく』をテーマにした食育活動を行っています。

 

今回は、2025年12月に行った西棟でのクッキングの内容を交え、命をいただく食育の取り組みをご紹介します。

 

紬木西棟のカリキュラム:クッキング

 

月に一度、幼児食専門の管理栄養士が先生となり行っているクッキング。(西棟:3~5歳児クラス)概念形成の集大成ともいえるこの活動では、子ども達が実際に調理をして自ら食べるという体験をしています。

 

調理をする時、人は五感を使っています。五感を使うと脳が発達し、思考力や想像力が育ち、感性が磨かれ、情緒が豊かになります。

食材を目で見て(視覚)、手で触れ(触覚)、調理の音を聴き(聴覚)、においを嗅ぎ(嗅覚)、完成した料理を味わう(味覚)…工程の全てが五感を刺激するクッキングは、脳の発達の土台を築く幼児期にぴったりのカリキュラムなのです。

また、お友達と一緒に作ることで、楽しさを体験し、社会性やコミュニケーション能力を養うことも期待できます。自分達で作り上げたという達成感も得られます。

 

 

さて、クッキングの時間は、まず栄養士さんからのお話から始まります。「○○って知ってる?」「○○があるのはどうしてかな?」「○○の数え方は?」などといった先生からの質問やクイズに、子ども達それぞれに考えを巡らせ、言葉や体で表現します。

その後、一人ひとりにレシピを配り、作り方を学習。切る、量る、焼く、煮る、蒸す…さまざまな工程を事前に知ることで、流れをイメージしやすくなるのです。

 

そうして興味と関心をもりもりに膨らませてから、いよいよ調理に突入!

作業を分担し、器具の説明を受けながら一生懸命取り組みます。包丁を扱う際はマンツーマン。必ず子ども一人に先生一人がついて安全第一に行っています。

 

料理が完成したら、給食として実食。自分達で作ったごはんは、美味しさもアップ!クッキングの感想などの会話に花を咲かせながら、子ども達の食も進みます。中には苦手な食べ物を克服できる子も。みんな誇らしげな笑顔でいっぱいです。

 

クッキングレポ『命をいただく~鶏肉をみてみよう~』

今年、命をいただく食育に選んだ食材は、鶏肉です。あらかじめ頭と内臓が取られている鶏丸ごと一羽で、ローストチキンを作りました。

 

まずは、鶏の体の部位について学びます。今回も資料をもとに栄養士の先生からお話がありました。

 

 

普段から積極的に図鑑や絵本を読んでいる子ども達は、視覚から得る情報に興味津々。

この後、鶏肉の各部位と自分の体との照らし合わせもしてみました。鶏肉の部位は人間の体と同じ場所にあることが多いため、とても理解しやすかったようです。

 

 

調理で使う丸鶏を見せた時、子ども達から「かわいそう」との声が。これからこの鶏を食べると知った瞬間です。

普段スーパーやお肉屋さんなどで見かける鶏肉は、調理しやすい形や大きさにカットされたもの。丸鶏を目の前で見たのは初めてという子もいました。「鶏肉は鶏の肉である」ということを明確に感じる機会を得られるのは貴重な体験です。

 

この時、子ども達は、自分が元気に過ごすには命をもらわなければならないことを学びました。

さらに先生から、このように命をもらって生きる人が多い中、世界には命を食べないと決めた人(ヴィーガン=完全菜食主義者)もいるというお話が。人によっていろいろな考え方があるというのを知ることは、多様性を大切にすることにも繋がりますね。

 

お話タイムの最後を締めくくったのは、一人の園児の「でも、鶏さんも美味しく食べられたほうが嬉しいと思う」との言葉。しっかりと自分の考えを言えていて、先生達も感動した場面でした。

 

 

さあ、お話のあとは、いよいよ調理の開始です。お庭に出て、みんなで丸鶏に調味料を塗って下味をつけていきました。

 

「皮?ぶにぶにする~!」

「つめたいね」

「おいしくな~れ」

「こわい~」

「かわいそう」

さまざまな声があがります。

そんな中、驚いたのが…

 

「中、かたいね…何だろう。骨?」

「…ろっこつ?」

 

子どもから“肋骨”という言葉が飛び出すとは!興味を伸ばすための日々のかかわりの賜物でしょうか。子どもには本当にびっくりさせられますね。

 

ここからは、先生の出番。

丸鶏のおしりから具材を詰めて…

 

 

オーブンで焼いていき…

 

 

こんがり焼けたローストチキンの完成です!

早速切り分けて給食のカレーに乗せ、感謝の気持ちを込めていただきます。

 

 

やわらかくて、旨味がぎゅっと詰まったローストチキン。もも、むね、手羽先、手羽中、手羽元の食べ比べもしました。(骨等の固い部分は保育者が取り除いて提供しています)

 

とってもおいしかったよ!

鶏さん、いのちをありがとう。

 

体験から得る学びと「生きる力」

クッキングの後、活動の中で得た学びを表現している子がいました。

 

(左)生きている鶏になりきり

(中)ローストチキンになりきり

(右)ブロックで肋骨部分を作製

   (水色は骨、ピンクは血のところ)

 

これらはみな自分が感じたことや考えたことを表現する力が養われている証拠。

自己を表現する方法として、身体や言葉、道具など、何を好み得意とするかは人によって異なり、まさに十人十色です。自己表現ができるようになるには、感覚刺激の経験を通じて、それぞれに応じた概念がしっかりと形成されている必要があります。

紬木保育園では、この『概念形成』に力を入れ、日々の保育に取り組んでいます。



培った概念を礎として備わる力こそ『生きる力』。今回子ども達は、生きていく上で必要な力と、何よりも大切な命の尊さを学びました。

これから成長していく中で、今自分が生きていることに感謝し、自他の命を大切にしながら心豊かに育っていってくれることを願います。